鹿のすね肉のコラーゲンの旨み、骨の強い旨味、野菜の甘みと深みをパン生地が全て包み込んでくれており、食材を無駄することなく食べれる料理です。
今回この料理を提案するにあたりコンセプトにしたことはジビエという食材が、普及しやすいように仕立てることを意識しました。
普及しやすいものは、簡単に大量に作れて、美味しくて、管理がしやすいものだと思います。
この料理は、今回は煮込みにした鹿肉を具材にしましたが、いのししのひき肉や、ベーコンを地元の旬野菜と炒めて具材にすることもでき、四季折々のその地域を表現したバリエーション豊かな料理です。
パン生地を使うことにより原価もおさえることができ、仕立てを少し変えればコースのアミューズや和食の前菜盛り合わせなどにも使え、たくさんの方々に食べていただけると考えています
今回シカのスネ肉を使用した理由は、使いずらい部分の活用です。
飲食業界ではジビエが徐々に普及してきています。いのししのバラやロース、鹿のロースやももなどのローストやハムなどの調理方法で使いやすい部位は、よく使用されますが、鹿のすね肉という部位は、比較的飲食店でも使われることが少ない部位です。
私が住む木更津市の隣町の君津市では猟師工房さんが市政とともに動き、『狩猟ビジネス学校』という、いのししや鹿の農作物被害を減らしながら、地域の資源である狩猟で採取した個体の利活用を進める活動をされています。
私も参加させていただく機会があり、聞いた話では、まだ個体の全てを利活用しきれていないとのことでした。
そのような中で、私の調理技術や知識を使って使用頻度の少ないスネ肉の付加価値をつけ、色々な方々に作っていただき、食べていただきたいと考え、使うことを決めました。
日本全国で問題になっている鳥獣被害ですが、鹿やイノシシなどは日本の資源ととらえ、捕獲した個体を余すことなく利活用し、そのことにより農作被害の減った農家さんは作物を育てることに注力しより良いものを作っていただく。
そして我々料理人がその作物を買い、生活者の方に価値あるものとして提供し喜んでもらう。生活者の方からいただいたお金で、我々がまたその作物を買うことができ、農家さんも豊かになる。
このような循環が生まれれば、農家さんの後継者不足の解決の糸口になると思っています。
材料 | 分量 |
---|---|
君津産 鹿すね肉 | 200g |
鹿の骨 | 適量(なくても可) |
牛乳 | 20g |
オリーブオイル | 25g |
小麦粉 | 110g |
ベーキングパウダー | 4g |
粉チーズ | 35g |
耕すさんの平飼い卵 全卵 | 1個 |
ワンドロップファームさんの有機人参 | 1/3本 |
ワンドロップファームさんの有機玉葱 | 1/2個 |
引藤ウォーターファームさんのグレープトマト | 3個 |
小沢さんのごぼう | 1/3本 |
ローリエ | 1枚 |
生クリーム | 50ml |
マヨネーズ | 50g |
粒マスタード | 10g |
バター | 20g |
チャービル | 少量 |
ピンクペッパー | 少量 |
人参、玉ねぎ、ごぼう、トマトを大きめの一口大に切る。
玉ねぎ、人参をフライパンで弱火で炒める。
鹿すね肉を一口大に切り、塩をふりフライパンで表面を焼きつける。
骨はオーブン220 ℃でこんがり焼く。
パセリはみじん切りにしておく。
圧力鍋に焼いたすね肉、骨、玉ねぎ、人参とごぼう、トマト、ローリエを入れ、具材が浸るぐらいの水を入れ40分煮込む。
その間に、小麦粉、ベーキングパウダー、パルメザンチーズ、をボウルでざっくり混ぜる。
すね肉が柔らかく煮こまれたら、出汁と具材を分け、すね肉と野菜をコンカッセする。
出汁は50㏄くらいまで詰め、冷やす
先ほどのボウルに、冷えた出汁、牛乳、オリーブオイル、卵、パセリを加え混ぜ合わせる。
生地ができたら切ったすね肉と野菜をさっくり混ぜる。
型に入れ オーブン 180 ℃約 40 分焼く。
提供時は カットして、フライパンにバターをしいて、強火で表面をカリッと焼き目をつけ、ホイップした生クリームとマヨネーズ、粒マスタードを混ぜたソースを添える。