ジビエ料理のレシピ紹介

うれしカレー ~南インド風~

第4回ジビエ料理コンテスト受賞レシピ★

(受賞者より)南アルプスの麓、静岡県の川根本町に私は住んでいます。近所に住んでいる主婦の方々に協力してもらい、母と小さなカフェを営んでいます。私の家では、川根茶やブルーベリー、野菜などを栽培しており、自家農園で採れた食材や、地元農家さんからの新鮮野菜をたくさん取り入れた料理やスイーツを提供させて頂いています。 
自家農園のブルーベリーや野菜は、ネットや電柵で囲んで、鳥獣被害対策をしていますが、ネットの隙間から動物が入って、丹精込めて育てたブルーベリーや野菜を食べられてしまうこともあります。近所の農家さんからも、シカやイノシシに畑を荒らされたという話をよく聞きます。
 私は小さな頃から、鹿肉や猪肉を食べて育ちました。親戚が猟師だったため、猟をした際に分けてもらっていました。鹿肉や猪肉は、我が家ではごちそうです。とても身近で、栄養価も高く、おいしい健康肉ですが、地元でも食する方ばかりではありません。町の猟師さんから「捕ったが食べきれなくて、冷凍庫が鹿肉や猪肉でいっぱいになっている」と聞いたことがあります。食べる方が増えれば、ジビエ肉の需要が増え、せっかく捕れた肉も無駄なく消費でき、「狩猟」→「販売」→「消費」のサイクルが自然とまわるのが、私の望みです。
 美味しく栄養価の高いジビエ肉をより多くの方々に食べていただきたく、みんなが大好きなカレーライスを作りました。カレーは、地元に事務所を構えるインドの企業の方を通し、スパイスの使い方を学びました。家庭でも入手しやすいスパイスを主にして調合しました。鹿肉と今回使用する野菜(生姜、玉葱、にんにく、トマト)は、地元食材を用いました。同じ大地で育った為、味のバランス、栄養のバランスがとても良いと感じました。
 鹿肉に含まれるビタミンB1は、糖質の代謝に必要な栄養素です。そして、疲労回復にも効果があります。ビタミンB1の吸収をよくするアリシンという栄養成分を多く含む、にんにくや玉葱を組み合わせました。また、ビタミンB1は、水溶性でもあるため、カレーで煮込むことで、逃さず栄養成分を摂取することができます。油脂との相性もよいので、ココナッツミルクや植物油を使用することで、ビタミンB1が体内で効率よく使用されます。
 調理法においては、鹿肉の美味しさをより引き出しジューシーに仕上げるため、カレーに入れて煮込む前に低温で調理しました。カットする際には、鹿肉の繊維を断ち切るようにし、お肉の存在感がありながら、柔らかく仕上がるように調理しました。
 料理名の「うれしカレー」には、農家さんも猟師さんも、食べる人も「うれしい」鹿のカレーになるといいなという思いをこめました。

材料・分量(4人分)

材料 分量
3合
適量
   
鹿肉 300g
塩コショウ 少々
生姜 10g(ひとかけ)
植物油 15g(大さじ1)
玉葱 250g(中1個)
にんにく 20g(3かけ)
植物油 15g(大さじ1)
トマト 400g(中2個)
ココナッツミルク 80g
5g(小さじ1)
30ml
   
(パウダースパイス)  
コリアンダーシード 2g(大さじ1)
パプリカ 1g(小さじ1)
ブラックペッパー 0.5g(小さじ1/2)
唐辛子 1g(小さじ1)
ターメリック 1g(小さじ1/2)
   
(テンパリング用スパイス)  
植物油 15g(大さじ1)
マスタードシード粒 1g(小さじ1/2)
唐辛子パウダー 1g(小さじ1/2)
パセリ 少々

作り方

  1. 米を炊飯しておく
  2. パウダースパイスを計量する
  3. 鹿肉を4ミリ程の幅にカットし、塩コショウ、すりおろした生姜と合わせておく
  4. 鍋に植物油を熱し、強火で粗みじんにした玉葱を炒める。玉葱がしんなりしてきたら、みじん切りにしたにんにくを加え、ほんのり色づくまで炒める
  5. パウダースパイスを加え、50ml水を加える。
  6. 塩とざく切りにしたトマトを加え炒める。
  7. トマトが煮崩れてきたら、水25mlを加え強火で15分ほど煮込む。
  8. 別のフライパンに植物油を加え極弱火でじっくり鹿肉を焼く。
    火が通ったら、焼いた鹿肉とココナッツミルクを加え10分ほど煮込み味をととのえる。
  9. 仕上げに、香辛料の香りを更に出すために、テンパリングをする。フライパンに植物油をひき、弱火で加熱する。マスタードシードと唐辛子を加え、マスタードシードがパチパチ音をだし、香りが出たらカレーの中に入れ、混ぜ合わせます。
  10. 皿にライスを盛り、カレールーをかけ、トッピングにパセリを盛りつけ出来上がりです。