ジビエ料理のレシピ紹介

鹿の内もも肉のすき焼きボール

★第6回ジビエ料理コンテスト 一般社団法人 日本ジビエ振興協会賞★
中西 佑輔(料理人・埼玉県狭山市)

レシピのポイント・開発者のコメント

 日本の食卓にあまりなじみのない「鹿肉」を、日本人にとってなじみ深い「すき焼き」に落とし込み、沢山の人に鹿肉の魅力が伝わるように表現しました。

 誰でも食べやすく、「美味しい、また食べたい。」と思ってもらえるような工夫を凝らした一皿に仕上げました。

 鹿の骨を「利活用」し、鹿本来の旨味や香り、滋味深い養分を余すところなく、味に昇華させることで、資源としての鹿の価値をより一層高めました。

 原価を見てもわかるように、鹿肉は牛などに比べると安価で入手でき、汎用性のある食材といえます。

「鹿肉は栄養満点」                                         低カロリー、高たんぱくで知られる鹿肉ですが、ミネラルや鉄も非常に豊富に含まれています。根菜の食物繊維や緑黄色野菜のビタミン類と合わせる事で、彩りやトータルの栄養バランスも意識しました。

「安全第一」                                            ①食中毒のリスクを知る(E型肝炎、大腸菌、寄生虫)②基準に適合する食肉処理施設の物を使う。③冷凍する(寄生虫対策)④加熱する(中心に火を通す加熱)

 野生に生息する鹿やその他の鳥獣類を取り巻く環境問題や、食資源としての鹿の可能性、事業者や自治体の取り組み等、幅広い視野の中から学び、料理人として、食と社会を繋ぐ役割に少しでも貢献できれば幸いです。

材料・分量(4人分)

材料 分量
《鹿内もも肉ボール》  
鹿肉内もも肉 240g
椎茸 60g
玉ねぎ 20g
春菊 8g
バター 20g
白菜 20g
白滝 20g
《割下》  
みりん 10g
砂糖 10g
醤油 30g
60g
《ソース》  
鹿のだし汁 (鹿の骨+水) 500g
玉ねぎ 70g
人参 20g
セロリ 20g
トマト 1個
赤ポルト酒 80㏄
醤油 50㏄
上白糖 40g
日本酒 40㏄
ごぼう 50g
コーンスターチ 適量
《人参のピューレ》  
人参 240g
バター 40g
適量
ミネラルウォーター 適量
《卵黄のコンフィ》  
卵黄(Sサイズ) 4個
ピュアオイル 40g
《焼き豆腐》  
絹豆腐 一丁
《田楽味噌》  
八丁味噌 20g
白味噌 5g
砂糖 20g
みりん 3g
サラダオイル  3g
ピーナッツオイル 3g
濃口醤油 3g
《田楽味噌の上澄み仕立て》  
上記の田楽味噌 50g
鰹節 15g
500ml
《春菊のクーリ》  
春菊 30g
1/2個
オリーブオイル 5g
《飾り大根》  
紅芯大根 4枚
マクロ春菊 4枚
紅葉人参 1枚

作り方

《鹿肉ボール》
①椎茸の石づきを取り除き、軸の部分と笠の部分に分ける。軸の部分は固いので細かく刻み、笠の部分は一口大にカットする。
②フライパンにバターをなじませ、軸の部分から炒め、笠の部分を加える。香ばしい香りと色を付けるがポイント。
③大きめのみじん切りにした玉ねぎを加えて、更に炒める。
④割下と白滝を加えて、味を含ませるようにゆっくり煮詰める。
⑤春菊のみじん切りを加え香りを出したら、冷却し、15g ずつにポーションする。
⑥柔らかくボイルし、水気を切った白菜で⑤を巻く。
⑦ 2mm 程にスライスした鹿の内もも肉に塩コショウをし、割下の液体にくぐらせて、下味をつける。
⑧ ⑥の野菜を芯にして、⑦の肉を球体になるように巻いていく。
 ※肉は半冷凍状態にするととても切りやすいです。
 ※冷凍する事で寄生虫対策にもなります。
⑨ラップを広げて肉を包み込み、茶巾しぼりの要領で形を整える。
⑩ガス火 65℃にキープしたお湯の中で 15 分加熱する。薄切りにしたお肉にジャストで火が入る温度、かつ殺菌性を高める加熱時間。
⑪ラップを外し保温しておく。

《ソース》
①鹿骨を細かくカットし、オーブンで香ばしい焼き色をつけ、水を注ぎ出汁を取る。
②香味野菜を香りや甘みが出るようにじっくりと炒める。強火ではなく、弱火~中火でゆっくり炒めるのがポイントです。
③ざく切りにしたトマトを加える。
④赤ポルト酒を加えて、しっかり煮詰める。
⑤醤油、上白糖、日本酒、鹿の出汁を加え、味を馴染ませる。
⑥叩きゴボウを作り、塩、砂糖を軽くまぶす。そのまま水でごぼうが柔らかくなるまで煮る。
⑦ ⑥に⑤を濾し、コーンスターチで濃度をつけて仕上げる。

《人参のピューレ》
①人参を厚みのあるスライスにし、バターでゆっくりと加熱。軽く塩ををし、柔らかく、十分に甘みが出たら、ミキサーで滑らかなペースト状にする。濃度はミネラルウォーターで調節する。
②絞り袋になどに入れ、絞る。

《卵黄のコンフィ》
①耐熱容器に卵黄を入れ、ピュアオイルを浸す。
②コンベクションオーブン又はオーブンで 65℃ 25 分加熱する。
③油分を切り、盛り付ける。

《焼き豆腐》
①絹豆腐を四等分にし、角を面取りし、ザルに入れ、たっぷりの水を張ったボウルの中で、転がし丸く成形する。
②田楽味噌の材料を合わせ、火にかけ丁寧に練り上げる。
③ ②の味噌を鰹だしでのばし、ガーゼで濾し上澄み仕立てにする。
④ ①の豆腐を③の上澄み仕立てで火を入れる。沸騰させないようにゆっくり温度を上げて、鍋のまま冷却し味を染み込ませる。
⑤液体から上げて、水気を切りガスバーナーで表面を炙る。
⑥田楽味噌ソースを丸く絞る。

《春菊のクーリ》
①春菊を柔らかくボイルし冷却する。
②卵を水から 5 分間ボイルし、半熟卵を作る。
③ ①②とオリーブオイルをミキサーにかけ乳化したピューレを作る。
④塩コショウで味を調える。
⑤マイクロ春菊、紅芯大根、紅葉にかたどった人参を盛り付ける