★第7回ジビエ料理コンテスト プロ部門 一般社団法人日本ジビエ振興協会代表理事賞受賞作★
細谷 岳史(Da Masa Pizza al Forno)
【レシピのポイント】
私がご提案させていただくお料理は、イタリアのシチリア島トラパニの街の郷土料理”ペスト アッラ トラパネーゼ”からヒントを得て作りました。
イタリアのシチリア島は世界でも有数のアーモンドの生産地として有名で、他国産に比べて食感が柔らかく甘味と香りが強いのが特徴です。
”ペスト アッラ トラパネーゼ” (以下、アーモンドソース) とはアーモンド、トマト、バジルをミキサーで細かくペースト状にしたソースの事をいい、現地シチリアではブジアーテという手打ちパスタに絡ませていただくのが伝統的な食べ方です。
鹿肉とこのアーモンドソースとの相性が良い事や食べ合わせによって、鹿肉の栄養を引き出す効果が期待できる事を知って頂きたいという思いで作りました。
鹿肉の様々な部位の中から挽肉を使う事にした理由としては2つあります。1つは生産者さんが各部位を切り分けた後に残ったお肉をミンチ状にした挽肉には、いただいた命を無駄なく大切にする思いがあり、その挽肉を最大限料理人が美味しく提供する事が私達の使命であると思った事です。また、いろいろな部位を混ぜ合わせている事からお料理に仕上げた時に、様々な味わいの表情を見せてくれるのも魅力の1つだと思っております。
◆パスタ
パッケリ | 12͡ケ |
オリーブオイル | 10cc |
◆お肉のフィリング
鹿肉(ひき肉、本州鹿のロース、外モモ、バラなど) | 300g |
塩 | 3g(お肉の重量の1%) |
ナツメグパウダー | 1.5g |
黒コショウ | 15回 |
花椒パウダー | 1.5g |
レモンの皮のすりおろし | 1/2個分 |
ニンニクのすりおろし | 1片(4g) |
◆アーモンドソース
フルーツトマト | 60g |
ニンニクのみじん切り | 1g |
イタリア産アーモンドスライス(普通のアーモンドスライスで代用可) | 15g |
バジル | 8g |
塩 | 1g |
オリーブオイル | 60cc |
◆オーブン前の準備
オリーブオイル | 5cc |
イタリア産アーモンドスライス(普通のアーモンドスライスで代用可) | 20g |
ペコリーノチーズパウダー(パルミジャーノで代用可) | 20g |
◆仕上げ
イタリアンパセリ(葉の部分のみ) | 1枝分 |
ピンクペッパー | 少々 |
レモンの皮のすりおろし | 1/2個分 |
【鹿肉に下味を付ける】
① ボールに鹿肉(挽肉)と塩、ナツメグパウダー、黒コショウ、花椒パウダー、レモンの皮とニンニクのすりおろしを入れ良くまぜ合わせる。ラップをして冷蔵庫に約30分~1時間程度入れて下味を付けていく。
【パスタを茹でる】
② 鍋にお湯を沸かし、湯量に対して1%の塩を入れる(分量外)。パッケリを裏の「標準茹で時間」よりも5分長めに茹でていく。茹であがったら、ザルで水気をよく切り、バットに移し、乾燥しないようにすぐにオリーブオイルをかけておく。粗熱が取れたら、パスタの表面が乾燥しないようにラップをしておく。
【ガスオーブンを温める】
③ すぐに使えるように、あらかじめガスオーブンを200℃に設定しておく。
【アーモンドのロースト】
④ あらかじめアーモンドスライスをフライパンで乾煎りしておく。
アーモンドソースに使うアーモンドスライス15gはミディアムロースト(全体的にきつね色)にする。
パッケリの上にのせる用のアーモンドスライス20gはライトロースト(全体的にうすいきつね色)にする。
※アーモンドソースは火入れを行わないので、アーモンドにしっかりとロースト香を付ける。
※パッケリの上にのせる方は、この後ガスオーブンで焼いていくのでライトローストが丁度良い。
【鹿肉を詰める】
⑤ 12ヶのパッケリがのるくらいの大きさの天板にクッキングシートをひいておく。
⑥ パッケリの粗熱が取れた事を確認して(常温が好ましい)下味を付けた鹿肉をパッケリに少しづつ詰めていく。パッケリの片方の穴から入れ続けると破けてしまう可能性があるので、両方の穴から少しづつ入れると良い。1ヶのパッケリに約25gの鹿肉が入るのが目安。しっかりと詰めて入れていく。
⑦ 鹿肉が詰まったパッケリはクッキングシートをひいておいた天板にのせていく。あらかじめ3ヶを1セットとして、隣同士くっつけてまとめておいておくと後の作業がしやすい。
【パッケリのロースト】
⑧ 天板にのせたパッケリの上に接着しやすくするために軽くオリーブオイルをかけて、ローストアーモンドスライスをのせていく。
⑨ ローストアーモンドの上にペコリーノチーズパウダーを振っていく。
⑩ ここまで準備ができたら、200℃のガスオーブンで15分間ローストしていく。
※4℃以下の鹿肉入りパッケリを200℃のガスオーブンで焼いた場合、12分で中心温度75℃に達する。オーブンの性能や焼きムラ等の火入れの安全性を考慮して3分間プラスしておく。それにより、お肉が固くなる等の問題はない。
【アーモンドソース】
⑪ フルーツトマトを湯むきする。※普通のトマトでも代用可能ですが、フルーツトマトよりも糖度が低い事でトマトの青い香りが気になってしまう事から、糖度が高いフルーツトマトをお勧めします。
⑫ ミキサーもしくはブレンダーに湯むきをしたフルーツトマト、ニンニクのみじん切り、ローストアーモンドスライス、バジル、塩、オリーブオイルをすべて入れて回しペースト状にしていく。これでアーモンドソースの完成。
【仕上げ】
⑬ アーモンドソースを別容器に入れ、ラップをして電子レンジで加熱する。熱々にしなくても、温まればよい。温まったアーモンドソース30cc/人を提供用のお皿の中央に敷く。パッケリがのせやすいように少し伸ばしておく。
⑭ 焼きあがった肉詰めパッケリ3個/人をアーモンドソースの上にのせていく。このとき、ローストアーモンドが落ちない様に気を付ける。
⑮ 刻んだイタリアンパセリとピンクペッパーを全体に散らせる。仕上げにレモンのすりおろしを振りかけ、完成。