猪ばら肉と根セロリの温かいテリーヌ 山の恵の野菜たち 香り豊かな赤ワインのソースで【第8回ジビエ料理コンテスト入賞/お店部門】
★第8回ジビエ料理コンテスト★
お店で食べたいジビエ料理部門 日本エスコフィエ協会会長賞
岡田 知樹 様(セルリアンタワー東急ホテル・東京都)
【レシピについて】猪肉の脂身にはコラーゲンがたっぷりと含まれており、赤身肉には豚肉と比べると鉄分が4倍ビタミンB12が3倍多く含まれており、貧血や冷え性を予防するヘム鉄と呼ばれる成分も豊富に含まれています。
その脂身と赤身肉の割合が特に一番良く猪の持つ独特な香りを引き立たせる為にばら肉を使用しました。
しかしながら病原菌を保有している事からオーブンでしっかりと加熱させる事でリスク回避を徹底しながらも、口の中でホロホロと柔らかい食感にする事で安全、安心で美味しく食べれるように仕上げました。
また、マリアージュと言われる程、相性の良い赤ワインで煮込み猪の旨味や栄養素がたっぷりと濃縮した香り豊かなソースとなっています。
付け合わせには猪の生態系のイメージを念頭に置きジビエの時期に旬を迎える栗や根菜、洋ナシといった山の恵の野菜を使用しました。
またクレソンにはカロテンやビタミンCなどの栄養素も豊富で特にシニグリンの酵素によって強い殺菌作用、抗酸化作用があります。これらの観点からこの作品を作成致しました。
「有害鳥獣駆除」という観点から現在、被害防止を目的とした捕獲が増加していますが食用として活用されるのが1割程度といった現状なので料理人ならではの視点として、大切な命をただ処分するだけではなく、有効な資源として美味しく調理し消費拡大を目指し地域復興や社会貢献の一端を担っていきたいです。
材料・分量(4人分)
●猪の煮込み
猪バラ肉 |
600g |
赤ワイン |
1リットル |
チキンブイヨン |
2リットル |
エシャロット |
100g |
ニンニク |
1片 |
ニンジン |
80g |
洋ナシの皮 |
1個分 |
ローリエ |
1枚 |
薄力粉 |
適量 |
●テリーヌ
猪の煮込み |
400g |
根セロリ |
100g |
ベーコン |
50g |
チキンブイヨン |
200g |
バター |
50g |
●ソース
猪を煮込んだ液体 |
1.5リットル |
フォンドボー |
200g |
バター |
30g |
コーンスターチ |
適量 |
●付け合わせ①
ニンジン |
120g |
黄色ビーツ |
120g |
チキンブイヨン |
200g |
バター |
15g |
ローリエ |
1/2枚 |
グラニュー糖 |
10g |
洋ナシ |
1個 |
玉ねぎ |
20g |
ショウガ |
15g |
白ワインビネガー |
10g |
●付け合わせ②
皮付きエシャロット |
1個 |
栗 |
50g |
牛乳 |
100g |
パルメザンチーズ |
15g |
猪の煮込みのくず |
100g |
●付け合わせ③
クレソン |
20本 |
赤玉ねぎ |
30g |
レモン汁 |
適量 |
オリーブオイル |
適量 |
《ピクルス液》 |
|
白ワインビネガー |
160g |
白ワイン |
24g |
上白糖 |
60g |
塩 |
10g |
ローリエ |
1/4枚 |
ニンニク |
0.5g |
黒粒コショウ |
2粒 |
●シャンピニオンのピュレ
シャンピニオン |
200g |
バター |
10g |
牛乳 |
60g |
生クリーム |
15g |
塩 |
適量 |
コショウ |
適量 |
オリーブオイル |
適量 |
サラダオイル |
適量 |
作り方
●猪の煮込み
①猪のばら肉をチキンブイヨン以外の材料表の分量で1晩マリネする。
(煮込むので筋などはそうじしない)
②猪のばら肉を①から取り出し、よく水分をふき取り、塩、黒胡椒で味付けし薄力粉を塗し
フライパンで肉の表面を焼き固め、液体は鍋に入れアルコールが飛ぶまで煮詰めチキンブイヨンを加える。
猪ばら肉を液体の中に加え、一度沸かし灰汁を取り除く。蓋をし200度のオーブンで約5時間猪のばら肉が柔らかくなるまで加熱し、ブラストチラーで冷却する。
●テリーヌ
①根セロリ、チキンブイヨンとバターを鍋に入れ根セロリが柔らかくなるまで加熱し、ブラストチラーで冷却する。
②クッキングシートにベーコンを並べ、テリーヌ型に這わせる。
③煮込んだ猪のばら肉と①の根セロリをテリーヌ型に合うようにカットし順番に詰めていく。
(この時でたばら肉のくずは付け合わせ②で使用するので取っておく)
④テリーヌ型の上からアルミホイルを被せ、140℃のオーブンで20分加熱し上から重石をしブラストチラーで完全に冷却させたのち1人前約1.5cmの厚さでカットする。
⑤カットした断面をフライパンで香ばしく焼き上げ180℃のオーブンで温めテリーヌの完成とする。
●ソース
①猪のばら肉を煮込んだ時の液体をシノワで濾し鍋に入れ液体に濃度がでてくるまで煮詰める。
②フォンドボーを加えさらに煮詰める。(付け合わせ②でも使用するので1/4量を別に取っておく)
③バターを加え、塩と黒胡椒で味を調節しソースの完成とする。
(濃度次第でコンスターチを加え濃度を調節する。)
●付け合わせ①
①人参と黄色ビーツを約0.7cmの厚さにカットし、鍋にバター、グラニュー糖、チキンブイヨンを加えそれぞれグラッセ状になるまで加熱する。
②材料表の生姜の1/3量をすりおろし、鍋にサラダ油を入れ香りがでるまで加熱し、玉ねぎをみじん切りにしたものを加えしんなりするまで更に加熱をする。
③②に約0.3cm角に切った洋ナシを加え、透き通ってくるまで加熱をし白ワインビネガーを加え液体が無くなるまで加熱し洋ナシのチャツネとする。
④残りの生姜を少し厚めの千切りにし、一度湯通しする。水とグラニュー糖、湯通しした生姜を鍋に入れキャラメリゼ状になるまで煮詰めていく。
⑤①をカリソン型のセルクルで抜き、黄色ビーツ、人参の順で重ねる。その上に洋ナシのチャツネを盛り込みトップに④をふんわりと飾り付け、付け合わせ①の完成とする。
●付け合わせ②
①栗と牛乳を鍋にいれ栗が柔らかくなるまで加熱し分量の半分をペースト状にしもう半分は約0.5cm角にカットする。
②「テリーヌ」の③より猪のくずを細かくなるようにほぐし①の栗と混ぜ合わせ、約5g程度の「ソース」を加え塩、黒胡椒で味を整えファルスとする。
③エシャロットをアルミホイルに包み220℃のオーブンで20分ローストし皮を剥く。身の部分を1枚ずつ剥し②のファルスを包むように詰める。
④「ソース」②よりパルメザンチーズを加え味を整え③全体を綺麗に覆うように流しかけて付け合わせ②の完成とする。
●付け合わせ③
①分量表の(ピクルス液)の材料をすべて鍋にいれ煮立ちさせ火から外しスライスした赤玉ねぎを加え常温でマリネしておく。
②クレソンを葉っぱの部分にそうじし①と合わせ塩、白胡椒、レモン汁、オリーブオイルで味付けをし付け合わせ③の完成とする。
●シャンピニオンのピュレ
①鍋にバターとスライスしたシャンピニオンを加え加熱する。
②シャンピニオンから出てくる水分がなくなれば牛乳、生クリームを加えひと煮立ちさせミキサーで滑らかになるように攪拌する。
③塩で味を整え、シャンピニオンのピュレの完成とする。
●盛り付け
①お皿にシャンピニオンのピュレを引き、180℃のオーブンで温めたテリーヌ、付け合わせ①、②を盛り付ける。
付け合わせ③を盛り込み、最後に温めたソースを流し完成とし提供する。
調理写真