2021年12月03日
北海道空知総合振興局主催による「エゾジカ肉ジビエ料理教室」と「『SDGs×エゾシカ×ジビエ』オンラインセミナー」が開催され、弊協会代表理事の藤木もお招きいただきました。
この催しは、振興局が立ち上げた「令和3年度エゾシカ肉活用未来担い手育成事業」の一環として企画されたもので、藤木は10月17日にリアルで開催された料理教室の講師、11月6日のオンラインセミナーに演者として登壇いたしました。
※北海道空知振興局さまの情報発信サイト『そらち・デ・ビュー』でも詳細なレポートが掲載されています。併せて御覧ください。
■高校生たちの活躍に期待――料理教室
10月17日の料理セミナーは2部構成で、午前中は一般向け、午後は三笠市立三笠高校の生徒に向けて行いました。
一般向け料理教室には、小学生低学年のお子さんから高齢者の方まで幅広い年齢の方々が8組16名参加。家庭でできるジビエ料理として「エゾ鹿カタ肉の唐揚げ」「エゾ鹿モモスライス肉と野菜のオイスターソース炒め」などの4種の料理のレシピを紹介。実際に作り、食べていただくところまでを行いました。三笠高校では枝肉からのさばき方をレクチャー。生徒の皆さんに半身枝肉を実際にさばいてもらい、部位ごとの食べ比べもしていただきました。
一般向けの教室の際には、ご高齢の方が「昔は臭いエゾジカしか食べたことがなく、イメージが悪かった。今のエゾジカはまったく臭くなく、こんなに美味しいものだとは知らなかった」と口々に話していました。一方で、小さなお子さんたちは最初からなんの抵抗もなく食べており、エゾジカに対する印象が世代によって大きく異なっていることを感じたと藤木。これは高校生たちも同様で、最初からエゾジカ肉を美味しいものと捉えており「三笠高校生レストラン まごころきっちん」では、エゾジカ肉を含む地域の食材を使ったメニューを提供しているそうです(コロナ禍のため10月現在はお弁当のみ)。
「高校生は調理実習の途中から、エゾジカ肉の匂いをかいで『いい匂い』『食欲が湧く』と話しており、若い世代にはごく自然にエゾジカ肉、ジビエが浸透していることを感じました。本州でも昔に鹿肉を食べた人ほど、ジビエを敬遠する傾向がありますが、その解決の道筋が見られたように思います」(藤木)
10月25日には、今度は高校生たちが講師となってエゾジカ肉の料理方法を一般向けに教える料理教室も開催しているそうです。
■オンラインセミナーで見えた今後の方向性
11月6日オンラインセミナーのテーマは「SDGsとジビエ」。持続可能な開発、経済成長を体感的・感覚的に理解できるものとして、ジビエを取り上げていただいた格好です。
ここ最近のジビエセミナーでは、国産ジビエ認証や衛生面のルール、カットチャートの活用法などのジビエの運用に関する内容を話すことの多かった藤木ですが、今回は「ジビエ振興と地域環境」を演題に、「なぜジビエを扱うようになったのか」という、そもそものきっかけから現在のような普及振興活動を展開するまでについてまでのお話をさせていただきました。藤木は、長野県の蓼科高原にお店を構えるにあたり、地域の食材にこだわる中でジビエを知り、その背景にあるさまざまな課題解決の入り口としての「ジビエ」の活動に取り組み始めたという経緯がありました。
パネルディスカッションは「SDGsの視点で考えるエゾジカの有効活用」と題し、環境省北海道環境パートナーシップオフィス(EPO北海道)の溝渕清彦さま、月形町の今井学さまと議論を交わしました。
溝渕さまは、環境省が設置した中間支援拠点のチーフとして、北海道における持続可能な社会づくりに向けた地域活動の支援や、SDGs等に関わる意見交換・学習会の開催等に取り組んでいます。今井さまは月形町役場に勤務する傍らハンターとしても活躍。一般社団法人エゾジカ協会が認定する「シカ捕獲認証」(DCC)で、全道でも3人しかいないレベル2を取得した凄腕ハンターとして知られています。
この日のディスカッションでは、SDGsから見たジビエのあり方、SDGs×ジビエ×まちづくりの取り組みの可能性について議論。企業からの注目度の高さや、また、ジビエにおける北海道と本州の違いや、個体が大きいエゾジカならではの苦労や対応のポイントについても話し合いました。お互いに知らなかったこともあり、さまざまな気付きを得る貴重な機会となりました。
セッションの最後には、ジビエがSDGs推進において環境、経済及び社会をつなぎ、有害鳥獣駆除というコストを“リソース”に変換し、地域の持続可能性を高める鍵となることを再確認しました。また、溝渕さまからは「ジビエサミット」を北海道で開催できるといいですね、とのお言葉もいただき、今後北海道との連携も進みそうです。
実は藤木が、セミナーや料理教室で北海道にお招きいただいたのは今回が初のこととなります。藤木は、改めて「SDGs」がジビエ振興のキーワードになっていること、高校生がSDGs、ジビエ振興のハブ、キーマンになるなど、さまざまな学びと気付きを得ることができたと話しています。この数年、北海道との連携が少しずつ動き始めていましたが、これを機にさらに加速、拡大していくことが期待されます。