「第1回ジビエ視察研修ツアーin鳥取」レポ《前編》
2023年12月28日
全国のジビエの成功事例を見学するためのツアー企画第1回、「第1回ジビエ視察研修ツアーin鳥取」を2023年5月18日(木)、19日(金)に開催いたしました。
第1回は、「ジビエ先進県」とも言われる鳥取県にて、生産、小売り、飲食店といった現場の視察を実施しました。
現地の様子などをレポートします!
--------------------------------------------
【5月18日 1日目】
●ツアースタート
汗ばむような初夏の陽気の鳥取。
ツアーバスにて14名の参加者のみなさまを鳥取駅と鳥取空港でお迎えし、ツアー1日目がスタートしました。
●サンマート湖山店へ訪問(売り場見学&ランチ)
ツアーバスは1つ目の訪問先、「
サンマート湖山店」へ到着。
ここでは、小売り現場でのジビエ取り扱いについて学びます。同店では、このあと訪問予定の国産ジビエ認証施設「わかさ29工房」から出荷されたシカ・イノシシのお肉を取り扱っており、その売り場の見学をさせていただきました。精肉のみならず、ご家庭でも手軽に楽しめる冷凍の鹿カレーコロッケや、ペットフードの鹿ジャーキーも売り場に並んでいます。
株式会社サンマートの石原さまに店内をご案内いただき、参加者はそれぞれ販売にあたっての工夫点や、お客様の反応など、直接質問されていました。
精肉売り場へ向かいます。遠目からも「ジビエ」ののぼりが…
ありました!ご家庭でも使いやすいスライスやミンチの商品も。
売り場見学の後は、店内併設のカフェ「STORY‘s」にて昼食をいただきました。「鹿カレーコロッケ」「油淋鹿(油淋鶏ユーリンチー風)」「鹿ちゃんぽん」の大満足のジビエランチを堪能。「鹿ならではの噛みしめる食感とうまみが楽しめて、おいしい!」といった感想が上がりました。
こちらでは、鹿骨で出汁を取った担々麺なども取り扱われているそうです。
鹿ちゃんぽん。とろみがある熱々スープの中には、鹿肉と野菜がたっぷり!
●若桜町へ到着(座学、見学)
鳥取市内からバスは南東へ向かい、若桜町へ到着しました。
ここでは、若桜町のジビエをめぐる現状を座学で学び、食肉処理施設「わかさ29工房」の見学、革工房「Dear deer」の見学をさせていただきます。ジビエの川上側の現場ということで、参加者からは特に関心の高い訪問先でした。
まずは若桜町公民館のホールをお借りし、若桜町役場からのお話と、「わかさ29工房」について、「Dear deer」についてのお話を伺いました。
ツアー参加者にも自治体と協力してジビエに取組んでいる方が多く、それぞれの地元での状況と照らし合わせて、沢山の質問が寄せられていました。捕獲状況や処理施設の運営にまつわる現状では具体的な数や実例を交えて詳細にお話いただき、参加者からは「かなりつっこんだお話を聞けて、参加して良かった」とのコメントもありました。
2019年に国産ジビエ認証を取得した同施設は、最新設備や広いスペースではないものの、ソフト面の工夫で非常に衛生的な食肉処理が行われています。処理頭数も全国トップクラスで、令和3年度にはシカ・イノシシあわせて3,700頭が処理されました。
実際に施設内を見学しながら、二次処理の流れをお話しいただきました。普段はなかなか立ち入る事のできない処理施設の内部を案内いただき、参加者からは導線や設備についての質問がありました。
実際に解体の様子も見せていただきました。
次に、わかさ29工房から歩いて5分ほどの場所にある「
Dear deer」へ見学に伺いました。こちらは、鹿革を使用した小物やバッグなどを作成されている工房です。わかさ29工房で解体処理された鹿の皮を、環境に負荷がかからないなめしを行っている株式会社A.I.Cへ送り、できあがった革を使用されています。売り場に並ぶ多彩な商品や、工房の様子を見せていただきました。工房の中には制作前で素材の状態の革もあり、鹿革のしなやかさなど、実際に手触りも確かめました。
代表の石井健治さん(上)。木のぬくもりがある工房内では、制作に使う道具や原皮の個体差など、実物を前にお話してくださいました。
●本日の宿に到着
バスに乗り込み、宿泊先の「
山紫苑」へ向かいます。
山紫苑は、宿泊客は24時間源泉かけ流しの天然温泉が楽しめる温泉宿です。夕食は、鳥取のシカ・イノシシをふんだんに使ったジビエ懐石を楽しみながら、参加者同士の情報交換会を行いました。同宿の料理長は、(一社)鳥取県調理師連合会の有志が集まって結成された惣和会(そうわかい)の副会長も務められています。惣和会ではジビエを含め様々な鳥取県産の食材研究や魅力の発信を行っており、この日のメニューもジビエの魅力を引き出した見た目も美しいお料理に一品ずつ歓声が上がりました。「ジビエ」というと洋食のイメージが強いですが、丁寧に処理されたシカやイノシシは和食の繊細な味付けでも堪能できます。
前菜(鹿ももぬた和え、稚鮎唐揚げ、菖蒲練り切り、蛙一寸豆、粽、合鴨塩焼き、若草揚げ、矢羽根牛蒡、的大根、海老チーズ進丈)
鹿ロース山椒鍋
上から、旬のお造里、自家製猪ロースベーコンと野菜の葛煮、鹿ロースはさみ揚げ。
お食事をいただきながら、参加者同士の会話が弾みました。施設運営にあたっての悩みごとや、近況報告など、普段はなかなか会うことのない離れた地域でジビエに取り組む方同士で情報交換をし合っていました。お互い連絡先を交換する場面もあり、新たな出会いの機会ともなったようです。