2024年02月08日
1月17日、都内で「“ジビエラボ” コラボメニュー」の発表会、試食会が開催され、多くのメディアが取材に訪れました。
これは、農林水産省補助事業「ジビエレストラン拡大支援事業」を受託したぐるなびが主導したもの。8月~10月に東京、横浜、大阪の3カ所で料理人を対象にしたジビエセミナーを各3回実施し、最終的に各店舗でジビエメニューを提供してもらうようにするという事業で、その成果発表会という位置づけになります。ジビエ協は、ぐるなびの依頼を受けて東京・横浜・大阪でのセミナーに講師として協力しました。
発表会では参加した料理人の39店舗でジビエメニューが提供されることが発表され、ジビエ振興に大きくはずみがついたと言えそうです。
■料理人のコミュニケーション
ぐるなびは、この「料理人たちとジビエメニューを探求する」取り組みを、「ジビエラボ」と命名。
参加した料理人たちは、いずれも新しいメニュー、食材の探求への意識が高く、社会課題や環境問題などにも強い関心を持っています。すでにジビエを扱っている店舗もありましたが、和食や中華など「ジビエにはまったく縁がなかった」という料理人も。
発表会には39店舗のうち6名の料理人が登壇、参加の動機やメニュー開発の工夫などをコメントしていますが、共通していたのは、料理人同士の交流が非常に良かったという意見。
「専門外の料理人と話す機会はあまりないので、他のお店の人が、こういう考え方をするのか、という気づきがとても勉強になった」
「社会課題からジビエに取り組む姿勢、考え方をしている料理人が多く、新鮮な刺激を受けた」
「ジビエを使ったことがなくハードルが高かったが、他の人たちの料理を知ったことで、使いやすくなった」
食に詳しいジャーナリストによると、一昔前は、交流が少なく孤高を保つ料理人が多かったのですが、最近は積極的に交流、意見交換する若手の料理人が増えているそうです。特にジビエのような比較的新しい食材においては、このような交流が求められるようになっているのかもしれません。その意味でも、今回のジビエラボは意義深いものであったと言えそうです。
■ジビエ振興の今後
農林水産省 農村振興局 鳥獣対策・農村環境課の藤河正英課長は、冒頭の来賓挨拶で、近年マスコミでジビエ情報の露出が増え、消費者の知識が高まってきていることに触れ、
「ジビエ料理が年々多様化しており、和食や中華でも扱われるようになってきました。マスコミには今後さらに美味し良いジビエを多くの人に伝える架け橋になってほしいし、料理店からも、サステナブルな食材としてジビエを消費者に伝えていただければと思います」
と話しました。
また、イベント後の取材に答え、ジビエラボのようなメニュー開発、飲食店提供までの一気通貫の事業について、次のように話しています。
「ここまでの取り組み(メニュー開発から提供)は、農水の補助事業としても珍しいと言えると思います。これもジビエを食文化として定着させたいという思いからのこと。結果として、39店舗ものお店で提供していただけるのは、非常にありがたいことです。今後、東京などの都市部だけでなく、地方ともリンクして消費を拡大していけたらと思います」
また、今後の消費拡大の課題として「まずは蛇口を開けてあげることが重要」とも話しています。現在はまだまだジビエの供給量が十分とは言えず、だからこそ価格も高く、一般に出回りにくい状況です。まずは供給量を増やすことが重要で「増えれば価格もこなれてくるのでは」と話しています。
■食べに行ってみよう
開発されたメニューは、現在東京・横浜・大阪の39店舗でお召し上がりいただくことができます。
発表会のゲストで登壇したキャイ~ンの天野ひろゆき氏はメニューを試食し、そのすべてを大絶賛。一品一品に事細かに感想を述べましたが、イノシシは「パワーがある」、鹿は「柔らかいのに噛みごたえがあって味とともに楽しめる」と評価していました。
参加店舗、メニューの詳細はこちら(https://lab.gibier-fair.jp/)から見ることができます。見ればすぐお気づきかと思いますが、メインからサブ、前菜と幅が広く、お値段もお手頃価格から贅沢品の価格までとさまざま。
「まずはジビエの裾野を広げることが大事」と話すのは、ゲストの岡田修氏(千葉県・クルックフィールズ。料理人、シャルキュティエ)。どんな食材も日常のメニューにあることで、一般にも広まるわけで、ジビエもまずは日常の食材として、安く提供できることが重要なことなのかもしれません。
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